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サステナブル調達への取り組み

Nittoグループのサステナブル調達

Nittoグループは、サステナブル調達活動として「リスク・マネジメント」「CSR調達」「グリーン調達」に取り組んでいます。これらの活動は、ESGを経営の中核に据えるNittoグループの方針に基づき、サプライヤーESGプログラムとして展開されています。この調達活動は、サプライチェーンにおける市場環境の変化に伴う供給リスクや人権侵害、CO2排出量削減などの環境課題に対するリスクを事前に把握し、可能な限り軽減・解決することを目的としています。
活動の推進にあたって、Nittoグループはパートナー様と緊密に連携し、長期的な受注計画や納期スケジュールなどの重要事項について定期的に協議・調整しています。これにより、パートナー様に過度な負担がかからないよう配慮しつつ、持続可能な取引環境を確保しています。こうした取り組みは、サプライチェーン全体で発生しうる人権侵害リスクを未然に防止し、Nittoグループとパートナー様が共に持続可能な成長を達成できる、健全で長期的なビジネス関係の構築を目指しています。

CSR調達のプロセス

持続可能な社会の実現に向けて、 Nittoグループはパートナー様と価値観を共有し、サプライチェーンにおける調達リスクの課題解決に向けて、パートナー様と取り組みます。

調達基本方針:Nittoグループから、CSR調達の基礎となる方針を共有しています。

サプライヤー行動規範:Nittoグループとパートナー様が価値観を共有する為に、期待事項を提示しております。なお、サプライヤ行動規範はRBAを参考に作成しております。パートナー様を招いたパートナーシップMTGを通じて周知を図り、遵守を要請しています。

CSRアセスメント:パートナー様におけるサプライヤー行動規範の実施状況を確認いただく目的で、自己評価(SAQ)を依頼・回収しています。SAQはRBA要求事項を参考に作成しています。結果を受けてフィードバックの上、是正依頼を実施しています。なお、2023年より、EcoVadisによる調査を開始しました。

さらなるCSR調達の実践:パートナー様における、CSR活動の詳細把握を目的とした「訪問調査」、3TG等に関する調達リスクへの調査・是正を目的とした「紛争鉱物調査」、品目固有の人権課題の調査・是正を目的とした取組を実施しています。

CSR調達のプロセスとしては、図で示す通りにPDCAサイクルを回して実践しています。

サステナブル評価

CSRアセスメントの概要

Nittoグループでは、パートナー様の選定において、価格、納期、品質に加え、ESG(Environmental, Social, Governance)パフォーマンスを重視しています。これらの要素を総合的に評価し、持続可能性の高い取引関係を構築することを目指しています。特に、ESGプログラムで優れた成果を上げているパートナー様とは、長期的かつ信頼性の高いパートナーシップを積極的に推進していきます。この方針は、調達の基本方針に則り、ESGに配慮したパートナー様を積極的に選定することを意味します。私たちは、このような取り組みを通じて、社会的および環境的責任を共有し、市場において持続可能な価値を共に創造していくことを目指しています。
そのため、Nittoグループではパートナー様のCSR活動の透明性向上とパフォーマンス強化を支援するため、毎年CSRアセスメントを実施しています。まず一次スクリーニングで多面的に重要サプライヤーを特定し、その後アセスメントを実施します。アセスメント結果はフィードバックレポートとして共有し、改善提案を通じて自主的な改善を促します。さらに、必要に応じて是正措置や改善計画を要請し、継続的な支援を通じてパートナー様と共に透明性の高い持続可能なサプライチェーンの実現を目指しています。

一次スクリーニング

Nittoグループでは、CSRアセスメントを実施するために、まず重要サプライヤーを明確に特定しています。具体的には、取引総額上位のパートナー様に加え、CO₂排出量や廃棄物量といった環境インパクトが大きいパートナー様、人権・労働慣行(差別・強制労働・児童労働など)に関する社会的リスクを抱えるパートナー様、事業継続性に直結する供給の安定性や代替困難性を有するパートナー様、そして贈収賄や利益相反、内部統制の不備などガバナンス面でリスクが高いと評価されたパートナー様を「重要サプライヤー」として選定しています。

またこれらの選定にあたっては、国別リスク、セクター別リスク、コモディティ別リスクなど様々な観点を考慮し評価をおこなっています。例えば、国別リスクでは、政治的安定性や法制度、労働環境など国ごとの特性を踏まえ、特に差別や強制労働、児童労働といった人権リスクをリスクマップでスコアリングし、高リスク国のパートナー様を重点的に管理します。セクター別リスクでは、当社が多く調達する化学材料を中心に、EUのREACH規制や国内化学物質制度への適合状況、排出管理体制などを業界固有のコンプライアンス観点から評価しています。コモディティ別リスクでは、金属や化学原料に加え、生物由来原材料の利用拡大に伴って生じうる食料安全保障や土地転換による生態系リスク、水資源利用への影響を総合的に勘案し、環境負荷と社会課題の両面から優先順位を決定しています。

CSRアセスメント

Nittoグループでは、パートナー様におけるサプライヤー行動規範の実施状況を確認するため、自己評価(SAQ)を依頼・回収しています。このアンケートは、RBAのガイドラインに基づき、「人権・労働」「安全・衛生」「環境」「公正取引」「情報セキュリティ」「サプライチェーンへの浸透」の各項目で構成されています。パートナー様には、これらの項目に関する詳細な情報をご提供いただき、その結果を踏まえて、持続可能性向上に向けた具体的な行動計画をともに策定・共有しています。さらに、2023年度からはEcoVadisを導入し、CSR活動の総合的な評価・定量化および進捗管理を通じて、より透明性の高い持続可能なサプライチェーンの構築を推進しています。

CSRアセスメント結果を活用した改善と是正措置

すべてのパートナー様は、総合スコアやテーマ別スコア、具体的な改善提案などCSRアセスメント結果のフィードバックを通じて、自社のCSR活動の現状を把握するとともに、他社の平均水準や業界標準と比較することで自社の位置づけを認識し、ベンチマークとして活用できます。また具体的な改善策や強化ポイントを明確化することが可能です。
さらに、各種の評価結果に基づき、当社から具体的な是正措置や改善に向けた詳細なアドバイスを提供し、パートナー様の自主的改善と持続的な能力向上を支援しています。これにより、パートナー様は競争力を高めつつ、持続可能なサプライチェーンの実現に貢献できます。Nittoグループは、パートナー様と協力しながらCSR活動の強化に取り組み、改善計画の策定と実行を通じて、より透明で責任あるビジネス活動を推進し、社会的価値の共創を目指しています。

具体的な実施結果については、サステナビリティデータブックをご参照ください。

サプライヤーエンゲージメント

Nitto パートナーシップミーティング

Nittoグループは、パートナー様に当社の持続可能な調達方針や環境・社会への取り組みを共有し、共に価値を高め合う場として、2022年より国内外でサプライヤーミーティングを開催しています。本ミーティングでは、単なる「買う側・売る側」という関係を超え、信頼と協働にもとづくパートナーシップの強化を目指しています。具体的には、サステナビリティ目標やCO₂削減、循環型社会の実現に向けた取り組み状況を共有するとともに、優れたパフォーマンスを発揮しているパートナー様のベストプラクティスを紹介し、参加者全体が自社の改善や能力向上に活用できるよう支援しています。また、Nittoグループはこれらのミーティングを通じて、パートナー様の自主的な改善活動を促し、持続可能なサプライチェーンの構築を共に推進しています。これにより、環境負荷低減や人権尊重など、社会的価値の創出に貢献し、長期的な信頼関係の構築と競争力の強化を図っています。

環境への取組

NittoグループではCO2の排出量の削減を進めています。Nittoグループ製品のCO2排出量の算出に、パートナー様の削減結果を反映するため、パートナー様で計算されたCO2排出量データを使用しています。

そのため、調達担当部署よりパートナー様にCO2排出量データの提出をお願いしています。ただし、CO2排出量の算定が難しいパートナー様には、専門の勉強会を開催し、共にディスカッションを重ねながらCO2排出量の算出をサポートさせていただいております。

これまでに多くのパートナー様とディスカッションを重ね、原材料のCO2排出量計算を協力して進めてきました。
今後も、パートナー様との対話を通じて、CO2排出量の算出や今後の削減方法について積極的に議論していく予定です。

教育・研修

Nittoグループでは、パートナー様のESGプログラムにおける役割について理解を深めるために、Nittoグループのバイヤー及びNittoグループの利害関係者を対象とした研修を実施しています。2030年の調達担当部署の目指す姿は、「持続可能なサプライチェーンを支える戦略部署へ」です。部門目標を達成するために「環境」「社会」「ガバナンス」「その他」に分類して下記の研修を実施しています。

環境:Environment

目的

サプライチェーン全体での環境負荷を低減し、持続可能なビジネス運営を確立することを目的としています。この研修では、規制対象の化学物質の管理や、CO2排出量の削減に関する知識と実践的なスキルを提供します。受講者は環境保護の重要性を理解し、具体的な手法を学びます。

研修、教育項目

  • 化学物質管理: 有害化学物質の管理方法と法規制の理解
  • CO2排出量: CO2排出量削減のための対策と技術
  • プラスチック廃棄物: プラスチック廃棄物削減のための戦略と実践

社会:Social

目的

ビジネスにおける人権の重要性を理解し、サプライチェーン全体でのESG評価を推進します。この研修では、CSR調達活動の強化を通じて、企業の社会的責任を果たし、社会的公正を確保するための具体的な方法を提供します。受講者は、ESG評価を活用して、サプライチェーン全体の持続可能性を向上させる戦略的アプローチを学びます。

研修、教育項目

  • CSR調達活動: CSRに基づく調達方針と実践方法
  • サプライヤー行動規範: サプライヤーの行動基準とその遵守方法
  • サプライチェーンに関する人権DD: 人権侵害の防止と対応策

ガバナンス:Governance

目的

持続可能な調達活動を確立し、法令遵守と倫理的なビジネス運営を実現することを目指します。この研修では、調達担当部署の信頼性と透明性を向上させるための知識とスキルを提供します。受講者は、調達規程や基準の重要性を理解し、適切な調達プロセスを学びます。

研修、教育項目

  • 調達規程/基準: 調達活動の標準規程と基準
  • 下請法: 下請取引の法規制と遵守方法税務知識
  • 税務研修: 税制法改正に伴う知識の習得と取引におけるリスクの回避方法

その他項目

目的

バイヤーおよび調達担当部署の基礎スキルを向上させ、業務の効率化と効果的なサプライヤーマネジメントを実現します。この研修では、コスト分析、交渉力、サプライヤマネジメントなど、実務に直結するスキルを学びます。受講者は、コスト分析方法や効果的な交渉技術を習得し、サプライチェーン全体の競争力を高めます。

研修、教育項目

  • コスト分析: コスト効率向上のための分析手法と実践
  • 交渉力: 効果的な交渉技術と戦術
  • サプライヤーマネジメント: パートナー様との関係構築と最適化方法

これらの研修プログラムを通じて、Nittoグループの調達担当部署は持続可能なサプライチェーンを実現し、2030年に向けた戦略的な役割を果たします。