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Nittoグループの気候変動課題への対応

Nittoグループは、気候変動への対応を経営上の重要課題と認識し、戦略的に経営への組込みを図っています。2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同を表明し、賛同後も継続して、気候変動関連のリスク・機会によってもたらされる事業への影響を毎年評価・見直しを実施しています。
2025年度および2026年度においては、気候変動への対応を一層加速させるとともに、その実効性を高めるために新たな目標・指標やScope別GHG排出量目標を設定しました。

ガバナンス

Nittoグループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして「気候変動への対応」を挙げ、取組みを強化しています。
取締役会(取締役会長兼CEOが、取締役会の議長として責任者を務める)の指示・監督のもと、経営戦略会議(取締役社長兼COOが、経営戦略会議の議長として責任者を務める)を中心としたサステナビリティガバナンス体制を構築し、環境を含む各課題について短中期および長期的な視点での戦略策定・推進を行っています。また、気候変動を含む環境課題への取り組みの実行性を高めるために、気候変動関連課題を推進する担当役員を責任者とする、Global Green Committeeを設置し、組織横断的な連携を強化するとともに、戦略検討や課題への対応策の実行・推進を行っています。Nittoグループのガバナンス体制は以下のとおりです。
Nittoグループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置き、経営を推進しています。そのため、一般的なサステナビリティ委員会やESG委員会を設置せず、取締役社長兼COOを責任者としてすべての執行役員を構成員とする経営戦略会議を、ESG経営推進の議論の場としています。これにより、ESGを迅速かつ適正に経営へ組み込むことが可能となり、企業の持続可能性と成長戦略が一体化することでより高い実行性を確保するガバナンスを実現しています。

ガバナンス体制(気候変動)

取締役会の役割

取締役会は、中期経営計画やイニシアチブ賛同など、気候変動を含む環境に関する経営方針や経営指標・目標(未財務目標)などの重要事項について、意思決定しています。また、中期経営計画の気候変動に関する目標(未財務目標)および目標達成に向けた取り組み状況について、四半期ごとに定期的な指示・監督を行うとともに、重要な事項が発生した場合は必要に応じて随時議題を追加しています。

取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関する資質・学識・経験等を持つ取締役によって構成することで、持続的かつより高い監督機能を有しています。取締役のスキルについては以下をご参照ください。

取締役(会)・監査役(会)に関する方針 Nittoグループ統合報告書2025(P.59 スキル・マトリックス)

経営戦略会議の役割

経営戦略会議は、気候変動を含む環境に関する経営方針や経営指標に基づく具体的な取り組み方針・施策について討議・意思決定するとともに、リスク・機会の管理や目標達成に向けた取り組みの進捗確認(モニタリング)を毎月行っています。討議・意思決定した内容や取り組みの進捗結果について、四半期ごとに定期的に取締役会へ報告を行うとともに、重要な事項が発生した場合は必要に応じ随時追加の報告を行っています。加えて、討議・意思決定された事項の迅速な社内浸透を確保するために、事業執行部署、専門機能部署、エリア統括を担当するすべての執行役員を経営戦略会議の構成員としています。

担当役員・担当部署の役割

気候変動を含む環境課題への取り組みを推進する担当役員を任命し、取り組みを実行する専門機能部署を環境担当部署としています。環境担当部署は、気候変動に関するリスク・機会を定期的に評価し、戦略検討(移行計画含む)、課題への対応策の実行・推進を行っています。環境担当役員はそれらの評価結果や検討内容および実行・推進状況について管理を行っています。
また、気候変動に関する取り組みの実行性を高めるために、気候変動関連課題への取り組みを推進する担当役員を責任者としたGlobal Green Committeeを設置し、関連機能部署であるESG経営全体を推進する担当部署、調達担当部署のみならず事業執行部署、エリア統括との組織横断的な連携を強化しています。Global Green Committeeの主な活動は以下のとおりです。
これら取り組みの進捗状況については、環境担当部署が中心となり経営戦略会議へ定期的に報告しています。

担当役員・担当部署の役割

Global Green Committeeの主な活動

リスク・機会の管理

事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識した気候変動に関する主要なリスク・機会について、適切に管理しています。また、事業活動に重要な影響を与えるその他の主要なリスクと統合させることで、グループ全体としても包括的に管理しています。

リスク・機会の評価・選定プロセス

事業活動における気候変動に関する主要なリスク・機会については、社内外環境変化に伴う自社への影響を把握し、インシデントが発生した場合の事業への「影響度」、実際に発生する「発生可能性」から相対的な重要度評価・特定(選定)を行うとともに、リスク・機会の優先順位を決定しています。
リスク・機会の特定に際して、シナリオ分析を活用し、自社のみならずサプライヤーから顧客までのバリューチェーン全体において、気候変動により想定される低炭素経済への移行に関するリスク・機会、異常気象など物理的被害をもたらすリスクについて把握し、財務的影響を与える可能性について定性・定量的に評価しています。

リスク・機会の管理プロセス

Nittoグループでは、選定した気候変動を含む環境に関する主要なリスク・機会について、以下のリスクマネジメント推進体制にて、適正に管理しています。

リスクマネジメント推進体制(気候変動)

気候変動を含む環境に関するリスク・機会は、事業執行部署、エリア統括が連携してモニタリングを行うとともに、その管理責任を環境担当部署が負います。モニタリングしたリスクに関する情報は、その他専門機能部署で管理されている情報とともに取締役、執行役員によって構成される経営戦略会議にて毎月報告・審議されます。審議結果は直ちに各責任部署に指示され、対策の実施、統制の強化を速やかに実行し、実行内容、改善状況は再び経営戦略会議に報告されることでグループのリスクマネジメントの実効性を高めています。
また、経営戦略会議にて報告・審議対象となった気候変動を含む環境に関する主要なリスクは、年度末に実行体制の整備、統制・対策の実行、インシデントの発生と対応などの評価基準に基づき、管理責任部署である環境担当部署が自己評価します。これをリスクマネジメント担当部署及びリスクマネジメント担当役員が評価基準に基づき独立的に評価し、経営戦略会議および取締役会に報告します。

全社リスクへの統合

気候変動を含む環境に関するリスク・機会は、事業活動に重要な影響を与えるその他の主要なリスクと統合させることで、グループ全体として包括的に管理しています。実際に、発生・顕在化した場合の事業への「影響度」を縦軸に、実際に起こる「発生可能性」を横軸として二軸での分析を行い、各リスクを相対的に評価し、全社リスクにおける気候変動に係るリスクの重要性を認識しています。また、これら全社リスクは、事業に関わる「事業リスク」とグループ全般に及ぼす「業務リスク」に大別し、グループ全体で適切なリスク管理を行っています。2024年度、グループ全体の主要なリスクは以下のとおりです。詳細についてはこちらをご参照ください。

2024年度のリスクマップ

当連結会計年度末のリスクマップ

戦略

2015年パリ協定締結や日本政府のカーボンニュートラル宣言など、社外動向に沿う形で、自社のみならずサプライヤーから顧客までのバリューチェーン全体において、気候変動により想定される移行および物理的なリスク・機会について、シナリオ分析を行いました。このシナリオ分析結果は、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」を含む2030年経営指標や中期経営計画「Nitto RISE 2028」に組み込まれており、脱溶剤化や省エネルギー化、再生可能エネルギーの利用、環境貢献製品の創出などの取り組みは、リスクの最小化および機会の最大化を可能とし、戦略の有用性を確認しています。

今後も、「気候変動への対応」を経営上の重要課題と認識し、戦略的に経営への組込みを行います。

シナリオの定義

気候変動に伴う事業環境変化が、自社の事業や経営に与える影響を予想し、想定される世界観(シナリオ)を作成しています。2050年を見据え、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えることを目標とした「1.5℃シナリオ」、および世界平均気温が、工業化以前と比べて3.2~5.4°C上昇する可能性の高い「4℃シナリオ」について検討をしています。

シナリオは、以下記載の国際機関が公表している情報を参考に作成しています。各シナリオで想定される事業環境は以下のとおりです。

【1.5℃参照シナリオ】
IEA NZE 2050(IEA「World Energy Outlook2023」のNet Zero Emissions by 2050 Scenario)やRCP2.6などを参考
【4℃参照シナリオ】
IEA STEPS(IEA「World Energy Outlook2023」のStated Policies Scenario)やRCP8.5などを参考

事業への影響(財務影響)

各シナリオにて想定される事業環境下での短期(3年未満)、中期(3-5年未満)、長期(5年以上)のリスク・機会を把握しています。短期・中期におけるリスク・機会は、中期経営計画へ反映し、長期におけるリスク・機会は各シナリオが実現した際の事業への影響(財務影響)を把握するために財務的な定量評価を行いました。中期、長期における事業への影響については以下のとおりです。

リスク・機会の種類 事象 想定されるリスク・機会 インパクト算出対象 1.5℃ 4℃
2030 2050 2030 2050
移行リスク 政策及び
法規制
低炭素規制強化 低GHG排出原材料への切替えコスト(原材料コスト)の上昇 サステナブル材料への
原材料切替えコスト増加額
再生可能エネルギーの普及による再生可能エネルギー調達費
(再エネ調達コスト)の高騰
再エネ調達コスト増加額
再生可能エネルギーの普及による設備投資費
(再エネ設備導入コスト)の増加
再エネ設備導入による
設備投資コスト増加額
廃棄物処理規制や基準の厳格化による廃棄物処理コスト
の増加
(廃棄物処理コストへの影響が測定可能となった場合、定量化を予定)
GHG排出価格の上昇 炭素税、炭素賦課金の導入拡大による税制コスト
(操業コスト)の上昇
租税賦課の増加による
操業コスト増加額
技術 新規技術投資による
低炭素製品への移行
エネルギー効率の高い技術の開発や導入による設備投資費
(高効率設備導入コスト)の高騰
高効率設備導入による
設備投資コスト増加額
業界/市場 原材料価格の高騰 化石燃料の高騰による石油由来原材料調達コストの上昇 石油由来原材料価格高騰
による調達コスト増加額
バリューチェーンの上流における炭素税等の課税が
原材料に価格転嫁されることによる石油由来原材料コストの上昇
石化燃料の高騰による輸送コストの上昇 (輸送コストの把握が可能となった場合、定量化を予定)
化石燃料の高騰によるエネルギー価格の上昇 化石燃料価格の
エネルギーコスト増加額
物理的リスク 急性的 異常気象や自然災害
の発生(急性)
洪水や高潮などによる自社工場の建屋・設備・インフラなどの
損傷や工場停止、および機会の損失(売上減少)
設備やインフラの損傷や停止
による資産被害額
洪水や高潮などで主要サプライヤーが被災することによる
自社工場の稼働停止、および機会の損失(売上減少)
設備やインフラの損傷や停止
による機会損失額
慢性的 海面の上昇 浸水被害などによる自社工場の機能停止 (対象となる自社工場なし)
機会 製品/サービス 低炭素製品の需要増加
(嗜好の変化)
リサイクル製品の需要増加による環境貢献製品の売上増加 環境貢献製品
売上増加額
医療関連製品の需要増加
(感染症への対応)
平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加による
医療関連製品の売上増加
医療関連製品
売上増加額
金額影響 小:30億円未満、中:30~100億円未満、大:100億円以上、(ー)事業影響は極めて小さいものと想定し評価対象外

1.5℃シナリオでは、低GHG排出原材料への切替えコスト(原材料コスト)の上昇や炭素税、炭素賦課金の導入拡大による税制コスト(操業コスト)の上昇、バリューチェーンの上流における炭素税等の課税が原材料に価格転嫁されることによる石油由来原材料コストの上昇が主な利益悪化の要因となります。

一方、リサイクル製品の需要増加により、環境貢献製品(PlanetFlags™認定製品)の売上増加を見込んでいます。

4℃シナリオでは、化石燃料の高騰により石油由来原材料調達コストの上昇、洪水や高潮などによる自社工場の建屋・設備・インフラなどの損傷や工場停止、および機会の損失(売上減少)が主な利益悪化の要因となります。一方、平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加により、人類貢献製品(HumanFlags™認定製品)のうち医療関連製品の売上増加を見込んでいます。

リスク・機会への対応

各シナリオにおける、リスク・機会への対応策について検討を行いました。

リスクへの対応策(リスクの最小化)

1.5℃シナリオでは、リスクの最小化を図るために脱溶剤化による製造工程の省エネルギー化を進めるとともに、インフラ・ユーティリティ高効率化の推進に伴う省エネルギー化、100%再生可能エネルギーの利用に取り組みます。さらには、サプライヤーと協働したリサイクル材料開発の推進によりサステナブル材料の効果的な調達や資源の有効利用による原材料使用量の削減を進めます。
これら取り組みにより、GHG排出量の削減が可能となり、2030年には「炭素税、炭素賦課金の導入拡大による税制コストの上昇」を約半分に抑えることができ、2050年にはGHG排出量(Scope1+2)実質ゼロを見込んでいるため、コスト上昇は生じないものと考えています。
また、省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用により購入電力の削減が可能となり、2030年、2050年ともに「エネルギー効率の高い技術の開発や導入による設備投資費の高騰」を約半分に抑えることが可能であると考えています。

4℃シナリオでは、リスクの最小化を図るために資源の有効利用による原材料使用量の削減やNittoグループ拠点の事業継続マネジメント(BCM)推進による未然防止対策などに取り組みます。これら取り組みにより、2030年、2050年ともに「化石燃料の高騰により石油由来原材料調達コストの上昇」「洪水や高潮などによる自社工場の建屋・設備・インフラなどの損傷や工場停止、および機会の損失」を抑えることができるものと考えています。

機会への対応策(機会の最大化)

1.5℃シナリオでは、機会の最大化を図るために環境貢献製品(PlanetFlags™認定製品)の拡充に取り組み、リサイクル製品など低炭素製品の需要増加による売上増加を見込んでいます。

4℃シナリオにおいても、人類貢献製品(HumanFlags™認定製品)の拡充に取り組み、平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加による医療関連製品の売上増加を見込んでいます。
継続的にPlanetFlags™/ HumanFlags™を創出することで一定の利益水準を確保できるものと考えています。

PlanetFlags™/ HumanFlags™ 詳細についてはこちらをご参照ください。

これらシナリオ分析の結果は、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」を含む2030年経営指標や中期経営計画「Nitto RISE 2028」に組み込んでいます。
また、2021年から2030年に(10年間)かけて進めている脱炭素投資800億円は、主に1.5℃シナリオにおけるリスクの最小化を図るための脱溶剤化、インフラ・ユーティリティ高効率化、再生可能エネルギーの利用に活用しています。シナリオ分析の結果からこれら対応策の効果として2030年(単年)で100億円以上のコスト抑制が可能であることから、効果に見合った妥当な投資であると考えています。

すなわち、1.5℃シナリオ、4℃シナリオに対する戦略のレジリエンスを検証できたものと捉えており、今後はさらなるリスクの最小化、機会の最大化を目指します。

指標と目標

Nittoグループは、サステナビリティ重要課題の一つとして「気候変動への対応」を掲げており、地球温暖化の原因であるGHG排出を削減することは、持続的成長と持続可能な環境・ 社会の実現に不可欠であり、重要な社会的責務と考えています。そのため、2050年GHG排出量(Scope1+2)実質ゼロを掲げ、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」宣言を行っています。
リスクの最小化や機会の最大化を図るべく、対応策を確実に実行するとともに、2030年指標・目標を設定し、その進捗状況を定期的に把握・管理しています。そのうち、サステナビリティ重要課題の解決を通じ、ありたい姿を実現するためのマテリアリティKPIとして「GHG排出量」「再生可能エネルギー比率」「資源活用率」「サステナブル材料使用率」「Flags売上収益比率」をNittoグループ全体で設定しています。また、マテリアリティKPIのうち、取締役の報酬と連動し、将来的に財務となり得る未財務指標として「GHG排出量」「Flags売上収益比率」を設定しています。
さらには、未財務指標として掲げる「GHG排出量(Scope1+2)」については目標400千ton※1達成に向け、活動の実効性を高めるべく、2026年度は「GHG排出量(Scope1)」330千ton、「GHG排出量(Scope2)」70千tonを個別目標として設定しました。
また、これまで「廃プラスチックリサイクル率」を掲げ、廃棄物の約半分を占めるプラスチックのリサイクルに取り組んできましたが、プラスチックに限らずさまざまな資源についての積極的な循環利用を目指し、2025年度は「資源活用率」を新たに設定しました。

※1 2024年8月、科学的根拠に基づき1.5℃に沿ったGHG排出量(Scope1+2)および(Scope3)削減目標を設定し、SBT(Science Based Targets)認定を取得しました。

リスク・機会に関する指標および目標

各リスク・機会における2030年指標および目標は以下のとおりです。

リスク・機会の種類 事象 想定されるリスク・機会 対応策 指標 目標(2030)
移行リスク 政策及び
法規制
低炭素規制強化 低GHG排出原材料への切替えコスト(原材料コスト)の上昇 原材料の代替材料への転換、製品の軽量化
サプライヤーとの協働によるリサイクル材料開発の推進
原材料使用量の削減
GHG排出量(Scope3)※1※3
1,460kton
再生可能エネルギーの普及による再生可能エネルギー調達費
(再エネ調達コスト)の高騰
国内再エネ調達マスタープランの実行(安定調達、敷地外での太陽光含む)
PPA調達の推進
再生可能エネルギー比率 ※2※4 100%
(2030年:国内、
2035年:グローバル)
再生可能エネルギーの普及による設備投資費(再エネ設備導入コスト)の増加 敷地内への太陽光設備導入設置(国内外)
GHG排出価格の上昇 炭素税、GHG排出炭素賦課金の導入拡大による税制コスト
(操業コスト)の上昇
再エネ、脱溶剤化、インフラ・ユーティリティ高効率化の推進による
GHG排出量(Scope1+2)の削減
GHG排出量(Scope1)※1※3
GHG排出量(Scope2)※1※3
330kton
70kton
技術 新規技術投資による低炭素製品への移行 エネルギー効率の高い技術の開発や導入による設備投資費
(高効率設備導入コスト)の高騰
脱溶剤化技術(UV、エマルジョン、ホットメルト)の推進
インフラ、ユーティリティの高効率化の推進
業界/
市場
原材料価格の高騰 化石燃料の高騰による石油由来原材料調達コストの上昇 資源の有効利用 原材料使用量の削減
GHG排出量(Scope3)※1※3
1,460kton
バリューチェーンの上流における炭素税等の課税が原材料に価格転嫁されることによる石油由来原材料コストの上昇 資源の有効利用(製品設計(軽量化・歩留向上)、リユース、リサイクルなど)
石油由来原材料からサステナ材料(バイオ材/リサイクル材)への転換
サステナブル材料使用率 ※2
資源活用率 ※2
GHG排出量(Scope3)※1※2
30%
69%
1,460kton
化石燃料の高騰によるエネルギー価格の上昇 省エネ、脱溶剤化、電化の推進 GHG排出量(Scope1)※1※3
GHG排出量(Scope2)※1※3
330kton
70kton
物理的リスク 急性的 異常気象や自然災害 の発生(急性) 洪水や高潮などによる自社工場の建屋・設備・インフラなどの損傷や工場停止、および機会の損失(売上減少) Nittoグループ拠点の事業継続マネジメント(BCM)推進 全社BCMおよびグループ拠点BCMの継続実施
洪水や高潮などで主要サプライヤーが被災することによる
自社工場の稼働停止、および機会の損失(売上減少)
サステナブル調達(リスクマネジメント)の推進 パートナー様におけるBCP立案
システムを用いたパートナー様の安否・影響確認の実施
機会 製品/
サービス
低炭素製品の需要増加(嗜好の変化) リサイクル製品の需要増加による環境貢献製品の売上増加 PlanetFlags™認定製品の拡充 Flags売上収益比率 50%以上
医療関連製品の需要増加(感染症への対応) 平均気温上昇に伴う感染症などの健康被害増加による
医療関連製品の売上増加
HumanFlags™認定製品の拡充

※2 マテリアリティKPI
※3 未財務指標
※4 2024年5月「Renewable Energy 100%(RE100)」に加盟、2035年までにグローバルでRE100達成を目指す。

指標および目標の管理

各リスク・機会における指標・目標は、グループ全体での管理だけでなく、グループの目標を事業執行部署へ割り振り、事業執行部署ごとに個別の目標を設定するとともに、グループ全体の対応策に加え事業内容に応じた対応策を検討することで実行性をより高めています。目標の進捗状況は、毎月事業執行部署ごとに把握を行い、環境担当部署にてグループ全体を管理し、経営戦略会議へ報告しています。また、指標および目標は、年1回見直しを行い、進捗状況や社外環境変化に伴い必要に応じた追加の見直しを行っています。さらに、未財務指標・目標については、3年ごとの中期経営計画策定の際に、取締役会にて審議の上決定されます。

目標に対する実績

■GHG排出量(Scope1およびScope2)に関する取り組みと実績

これまでNittoグループは、GHG排出量の削減に向けて使用エネルギー量の低減に取り組んできました。例えば、製品の無溶剤化や排熱の有効活用、高効率機器の導入など多角的な省エネルギー化に向けた取組みを進めています。また、Power Purchase Agreement(PPA)を活用した中長期での調達を継続的に行い、再生可能エネルギーへ転換を進めています。
今後は、2030年目標「GHG排出量(Scope1)」330千ton、「GHG排出量(Scope2)」70千tonの達成に向け、サプライチェーン全体でのGHG排出量削減やコーポレートPPAの計画的な調達を進めていきます。

指標 2020年度(基準年) 2023年実績 2024年実績 2028年目標(中期) 2030年目標(長期)
GHG排出量(Scope1) 289kton 291kton 300kton 330kton
GHG排出量(Scope2) 236kton 181kton 100kton 70kton
GHG排出量(Scope1+2) 746kton 525kton 472kton 400kton 400kton
GHG排出量売上原単位(Scope1+2) 0.57ton/百万円 0.47ton/百万円

Nittoグループは、サプライチェーン全体で優先的に削減すべき対象を特定するために、GHGプロトコルに従い正確にGHGの算定・報告を行っています。 GHG排出量(Scope1+2)に関する算出方法詳細は以下のとおりです。

指標(単位) 算定方法
GHG排出量
Scope1:直接排出
Scope2:エネルギー起源の間接排出
(kton)
温室効果ガス排出量の定量化は、活動量データの測定、及び排出係数の決定に関する不確実性並びに地球温暖化係数の決定に関する科学的不確実性にさらされています。
算定方法はThe Greenhouse Gas Protocol発行の「A Corporate Accounting and Reporting Standard Revised Edition」による。排出係数は以下の通り。
a ) エネルギー(燃料、蒸気):「地球温暖化対策推進法」に規定される係数 b ) エネルギー(温水):供給事業者ごとの排出係数 c ) エネルギー(電力):(マーケット)日本国内、ドイツの一部拠点は電気事業者ごとの排出係数、ベトナム、台湾、は省庁が公表する排出係数
その他の地域は国際エネルギー機関(IEA)のGHG Emissions from Fuel Combustionで提供される地域ごとの係数、EPA(United States Environmental Protection Agency)のEmissions & Generation Resource Integrated Database(eGRID)で提供される地域ごとの係数
(ロケーション)日本国内は、電気事業者別排出係数の全国平均係数、米国はEPAのeGRIDで提供される地域ごとの係数、その他の地域はIEAのGHG Emissions from Fuel Combustionで提供される地域ごとの係数
 d ) 敷地内で燃焼される工程材料(溶剤):溶剤の燃焼反応を想定した当社が定める係数

■GHG排出量(Scope3)に関する取り組みと実績

現在、2030年目標「GHG排出量(Scope3)」1,460千ton達成に向け削減策の検討を進めています。具体的には、事業ポートフォリオの変革、歩留まり向上、サステナブル材料への転換による削減効果の試算を行い、削減策への組み込みを図っています。原材料や輸送についてはサプライヤー様の協力も不可欠であり、サプライヤーエンゲージメント活動を推進し、2025年度には原材料の1次データをサプライヤー様から取得するなど算定精緻化を進めました。
今後も、Scope3の中でも排出量の多いカテゴリーを中心に、継続的に各事業執行部署とともにGlobal Green Committeeで討議し、早期の対応を行います。

対象カテゴリー:1. 原材料の調達、3. 燃料・電力の製造、4. 輸送(調達・出荷物流)、5. 廃棄物処理、12. 製品廃棄

GHG排出量(Scope3)に関する算出方法詳細は以下のとおりです。

指標(単位) 算定方法
GHG排出量
Scope3:その他の間接排出(kton)

温室効果ガス排出量の定量化は、活動量データの測定、及び排出係数の決定に関する不確実性並びに地球温暖化係数の決定に関する科学的不確実性にさらされています。
算定方法は環境省・経済産業省(日本)発行の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン ver.2.6」による。
排出係数は以下のデータベースによる。

  • a ) サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース ver.3.4
  • b ) 産総研IDEA v3.4.1, AIST IDEA v3.4.1
  • c ) ecoinvent v3.10
  • 1 購入した製品・サービス
    直接調達: Σ{主な原材料の種別購入重量 × GHG排出原単位}
    間接調達: Σ{勘定科目別の購入金額 × GHG排出原単位}
  • 2 資本財
    設備投資額 × GHG排出原単位
  • 3 エネルギー関連活動
    Σ{エネルギー種別購入量 × GHG排出原単位}
  • 4 輸送、配送(上流)
    原材料: Σ{トンキロ × GHG排出原単位}
    製品及び中間品(国内): 省エネ法(荷主に係る措置)にもとづき算定
    製品及び中間品(輸出): Σ{トンキロ × GHG排出原単位}
  • 5 事業から出る廃棄物
    Σ{廃棄物等(有価物含む)の種類別/処理方法別排出量 × GHG排出原単位}
  • 6 出張
    従業員数 × GHG排出原単位
  • 7 雇用者の通勤
    Σ{拠点別の従業員数 × GHG排出原単位 × 年間稼働日数}
  • 8 リース資産(上流)
    全てScope1,2 に計上済みであるため、算定除外
  • 9 輸送、配送(下流)
    Σ{輸送トンキロ × GHG排出原単位}(シナリオにもとづく)
  • 10 販売した製品の加工
    製品出荷重量*1 × GHG排出原単位
  • 11 販売した製品の使用
    販売数量*2 × 年間消費電力 × 耐用年数 × GHG排出原単位
  • 12 販売した製品の廃棄
    製品出荷重量*1 × GHG排出原単位
  • 13 リース資産(下流)
    該当なし
  • 14 フランチャイズ
    該当なし
  • 15 投資
    該当なし
  • *1 製品出荷重量は、原材料の購入重量(有機溶剤除く)より当社の生産工程から排出された廃棄物重量を控除し算出、特定製品群の製品出荷重量を精緻化しました。
  • *2 対象製品は、自らエネルギーを使用する製品(デュラプリンタ、ニトマチック)に限定しました。

■廃プラスチックリサイクル率および資源活用率に関する取り組みと実績

これまで、プラスチックリサイクル技術の開発を進めてきました。2025年度には、約1億円を投じて豊橋事業所に実証実験設備を導入し、更なる技術課題への対応を進めています。この度、リサイクルプラスチックを利用した制服が完成し、社内利用を開始しました。
今後は資源活用率の向上を目指し、歩留まり向上による資源の効率的利用や廃棄物のリサイクルを一層推進していきます。

指標 2023年実績 2024年実績 2030年目標(長期)
資源活用率 - 66% 69%

■サステナブル材料使用率に関する取り組みと実績

2025年度は、集計範囲をグローバルに拡大することで、パルプなどのバイオマス由来原材料の調達比率が高い欧州エリアの実績を反映させました。また、原材料のサステナブル材料への転換として、ポリスルホンや酢酸エチルについてマスバランス※5方式の認証を受けた原材料調達を開始し、欧州エリアの一部拠点における酢酸エチルについては100%バイオマス原材料由来へ切り替えました。
今後も引き続き、原材料戦略の高度化とサプライヤー様との協働を通じて、サステナブル材料への転換を推進します。

指標 2023年実績 2024年実績 2030年目標(長期)
サステナブル材料使用率 16%
国内(単体)
18%
国内(単体)
30%

※5 マスバランス方式:ある特性をもった原料(例:バイオマス由来原料)が、そうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合、原料の投入量に応じて製品の一部にその特性の割当を行う手法

■Flags売上収益比率に関する取り組みと実績

昨今、気候変動問題への関心が高まる中、環境課題を解決するPlanetFlags™ の創出が重要かつ急務であり、そのためには社内外の連携が必要不可欠です。 技術変革を図ることで脱炭素、資源循環などの取組みを推進するGlobal Green Committeeの場を通じ、事業部とエリア、そして機能部署の3つの軸が有機的に連携し、新たなPlanetFlags™を創出していきます。さらに、お客様やサプライヤー様との協力を強化し、スタートアップやベンチャー企業への出資も含め、多様な手段で事業化のスピードアップを図ります。

指標 2023年実績 2024年実績 2028年目標(中期) 2030年目標(長期)
Flags売上収益比率 36% 44% 50% 50%以上

Scope1,2,3の各排出量およびその他個別の管理指標の過去実績等はこちらをご参照ください。

また、2021年から2030年にかけて進めている脱炭素投資800億円のうち、2021年度から2025年度の5年間で372億円の脱炭素関連投資を実施しています。これらは主に、設備運用の改善や高効率設備への更新による省エネ化、太陽光発電設備の新規導入・増設による再生可能エネルギーの利用増加などに使用されています。
Nittoグループでは、2050年カーボンニュートラル、2030年目標(GHG排出量)を確実に達成すべく、ICP(インターナルカーボンプライシング)を導入した環境投資を進めてきました。主に、新規の環境技術・設備などの投資に対してEU-ETS等社外動向を考慮したICP価格10k¥/t-GHGを設定し、投資を促しています。