ニュースリリース 2017
2017/05/25
-超薄型偏光膜の革新的な製法の発明によりディスプレイの薄型化、フレキシブル化に貢献-
平成29年度全国発明表彰 「内閣総理大臣賞」を受賞
日東電工株式会社(本社:大阪市、社長:髙﨑秀雄、以下Nitto)は、このたび超薄型偏光膜の製法の発明で平成29年度全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)の「内閣総理大臣賞」を受賞しました。「内閣総理大臣賞」は科学技術の発展と産業の振興に貢献した発明として、恩賜発明賞に次ぐ賞です。
全国発明表彰 「内閣総理大臣賞」受賞は2005年に引き続き2回目、全国発明表彰 「発明賞」を含めると3回目となります。授賞式は6月12日(月)、ホテルオークラ東京(東京都港区)において行われる予定です。
今回の受賞は液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにおいて、映像を表示するために必要不可欠な部材である偏光膜の革新的な製法を発明し、ディスプレイ産業界の発展に大きく貢献したことが評価されたものです。
この手法により製造された超薄型偏光膜は、収縮力を従来の半分以下に抑制したことにより、ディスプレイの画質低下につながる光学歪みやパネルの反りを大幅に改善しました。現在薄型化が進むスマートフォン、タブレットPC、TVなどへ積極的に採用されており、今後次世代ディスプレイと言われているフレキシブルディスプレイ用途へも期待できます。
発明の背景
従来の偏光膜は、ヨウ素染色したポリビニルアルコールフィルムをホウ酸溶液中で5-6倍に加熱延伸処理して製造しますが、その製法がゆえに収縮しやすいという課題があり、これまで技術革新が進んでまいりました。
収縮を抑制する手法の一つに薄型化があり、これは近年のディスプレイの薄型化のニーズの高まりからも注目されていますが、従来の製法での薄型偏光膜は延伸途中での破断や、不十分な光学特性につながり、これらの課題を更に高いレベルで解決する技術の実現が求められてきました。
そこで当社は、熱可塑性樹脂基材上にポリビニルアルコール樹脂層を積層させた状態で、異なる条件下で2段階の延伸処理を行うという業界初の革新的な製法を発明しました。
その結果、高い光学特性を示す業界最薄となる約5μmの偏光膜の製造に成功し、収縮力を従来の半分以下に抑制させたことで、光学歪みがほぼなくなり、パネルの反りも大幅に改善されました。この製造方法は従来と比較し、希少資源であるヨウ素やホウ酸が少量で済むため、省資源化にもつながります。
本手法により製造した超薄型偏光膜は、昨年ディスプレイ業界で最も権威ある組織The Society for the Information Displayより世界のディスプレイ産業に多大な影響を与えた製品としてDisplay Component of the Year Awardを受賞し、現在多くの薄型TV、スマートフォンなどに使用されています。
Nittoは、2018年に迎える100周年、さらにその先の未来に向けて、Green(環境)・Clean(新エネルギー)・Fine(ライフサイエンス)の分野で新しい価値を創造しつづける取り組みを続けています。当社では今後も知的財産価値を高め、”Innovation for Customers” を実践し、企業価値を最大化するよう努めてまいります。
受賞内容
発明名称
超薄型偏光膜の製法の発明(特許第4691205 号)
受賞者
日東電工株式会社 全社技術部門新規事業本部 スペースイノベーション技術センター長 宮武 稔
日東電工株式会社 情報機能材料事業部門 R&D 統括部 第2開発部第2グループ 主任研究員 後藤 周作
日東電工株式会社 情報機能材料事業部門 R&D 統括部 第1開発部第4グループ 主任研究員 喜多川 丈治
日東電工株式会社 情報機能材料事業部門 R&D 統括部 第2開発部第2グループ 主事 上条 卓史
従来法と発明法との違い
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日東電工株式会社 ブランドコミュニケーション部 広報グループ
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