現在所属しているライフサイエンス研究センター第5グループは、2015年7月に新しく立ち上がった部署で、医療、介護の領域で新テーマを生み出す活動をしています。立ち上がり当初は業界の知識がないため、お客様がどんなことに困っているのか課題を見つけるところから始めました。私を含めた4名のメンバー全員で病院や介護施設を訪れ、ひたすら外に出て情報収集。情報が集まれば、みんなで内容を共有し、事業化できるテーマを探し続けました。
私の持論では、事業化するために最低限必要なことが3つあります。1つ目は「お客様の不(不便、不満、不幸…など)を解決できること」。お客様と向き合い、FACTを集めるところから始めています。2つ目は「勝てること」。Nittoらしさが出せているか。そのためには会社のことを良く知る必要があります。3つ目は「利益を出せること」課題解決ができても利益がでなければ企業としての活動が存続できません。この3つをクリアできるテーマを探し求め、200以上のニーズを集め、ソリューションを考え、2015年の9月には2つのテーマに絞ることができました。現在はサンプル作りなどを行い、事業化に向けて日々開発研究を進めています。
私は入社前から新しい事業を自分の手で生み出したいという想いがあり、大学では博士課程と並行して技術経営専攻も勉強しました。入社してからも新規事業を立上げるための知識を身に着けました。チャンスが巡ってきたのは、入社5年目。この年、会長・社長・CTOに新規事業をプレゼンできる機会があり、これにチャレンジしました。
私は単に新技術を提案するのではなく、いかにNittoのコア技術の価値を高められるか、経営的な視点から考えました。そこで着目したのが建築業界の職人不足。日本の建築現場では職人不足が深刻化していて、高い施工技術を持った職人さんが減っています。もし、貼った後から位置を微調整できるテープがあれば、経験の浅い職人さんでも簡単に施工することができ、工期短縮にも貢献できる。Nittoの新規粘着技術が社会問題を解決するだけでなく、Nittoにも利益をもたらす可能性がある提案でした。この発表に対して、経営陣からは「面白い、ぜひ事業化してくれ」となり、しばらくして研究開発本部へ異動になり、各部門から開発メンバーが集まり、チームができました。
事業化にあたって、実際に商品を使ってくれるお客様を探し、技術的な課題など、私一人では乗り越えられない壁にいくつもぶつかりました。そのたびに開発メンバーが自分にはないアイデアを出してくれ、乗り越えることができました。新しい事業をつくりたいという自分の想いが、会社の目標になり、実現するための仲間ができた。Nittoに入って良かったとこれほど思ったことはありません。
大学時代は粘着剤がなぜ付いたり、剥がれたりするのかに興味を持ち、粘着の剥離に関する研究をしましたので、Nittoのことは知っていました。それだけでなく、技術経営専攻の講義でNittoの三新活動やグローバルニッチトップ™戦略を知り、面白い会社だと感じ、Nittoに入社することを決意しました。
2009年4月入社→信頼性評価技術センターで表面・界面の高分子物性、シミュレーション技術を活用し製品設計に役立てる→2010年4月、機能設計技術センターに所属中に新テーマを提案し採用が決まる→2014年4月、研究開発本部 新機軸探索グループにて新テーマの市場ニーズや、ビジネスモデルを考え、事業化を目指す→2015年4月、基幹技術研究センターに異動。新テーマが量産検討まで進む→2015年7月、ライフサイエンス研究センター第5グループにて医療・介護領域の新規事業を立ち上げる活動を行っている。
お客様の「不」を一つでも多く解決できるよう、全力で挑んでいます。今日一日頑張ったことが、いつか世の中の課題を解決することに繋がると信じ、日々業務にあたっています。