日東電工グループレポート 2013
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29Nitto Denko Group Report 2013マネジメント原材料CO2 排出VOC排水廃棄物研究開発費設備投資費リサイクルエネルギー用水人財コーポレートガバナンス製品新しい技術知的財産事業活動売上営業利益配当社会貢献寄付許を取得し、2013年に治験を開始します。臓器線維症の一つである肝硬変は、不治の病とも言われ、世界で600万人が苦しむ難病です。この病気は、肝臓の慢性的な炎症によって、本来は炎症の修復の機能を果たすコラーゲンが肝星細胞から過剰に合成され、沈着することで起こります。そこで、新津教授は、肝星細胞だけに直接薬を届け、コラーゲンの過剰合成を止める方法を考えましたが、課題が2つありました。一つは、コラーゲン合成を抑える薬の開発です。その解決策として特定のRNAの機能を抑制するsiRNAという核酸医薬が用いられました。コラーゲンの合成に欠かせない因子を抑えることでコラーゲンの合成を抑えます。もう一つの課題は、そのsiRNAをいかに壊さずに、どうやって標的とする肝星細胞だけに届けるかでした。そこで、新津教授はビタミンAに着目しました。肝星細胞はビタミンAを取り込む性質があります。このアイデアと、日東電工が持っているDDS(ドラッグデリバリーシステム)によって、siRNA(積み荷)を特殊なキャリア(船)に入れ、ビタミンA(肝星細胞まで届ける船頭)をキャリアの外につけるという画期的な新薬が誕生しました。この新薬に関する基本特許を日本・中国・オーストラリアに続き、2012年5月に米国で取得しました。2013年3月には米国食品医薬品局(FDA)に肝硬変治療の治験届を提出しました。今年度中に治験を開始します。肝硬変を治す市販薬は現在のところ存在しませんので、本治療薬が実用化されれば、世界初の治療薬となります。日東電工では、難病に苦しむ人々のために、肝硬変をはじめ、他の臓器線維症治療にも応用できないか、研究を重ねています。国の研究開発プロジェクト(NEDO)に参画し、 フレキシブル有機EL照明の開発を加速日東電工グループでは、2012年度、新たに新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「リール式真空蒸着法によるフレキシブル有機EL照明の研究開発」に参画しました。このプロジェクトは、高効率でフレキシブルな有機EL照明を製造するプロセスを開発するものです。有機ELは、現在急速に普及しているLEDに続く次世代の省エネルギー照明として注目されています。このプロセスの実用化により、有機EL照明の本格的な普及を進め、省エネルギー社会の実現に貢献していきます。また、フレキシブルな特長を活かし、これまでにないユニークな照明の開発も進めていきます。スイスに環境・ライフサイエンス関連材料の 研究開発センターを新設日東電工は2012年7月、スイス西部のローザンヌ工科大学(EPFL)内のイノベーションスクエアの中に日東電工ヨーロッパテクニカルセンター(Nitto Denko Europe Technical Centre Sàrl、以下NET)を設立し、日本、米国、欧州(スイス)、アジア(シンガポール)の世界4極でのグローバルコーポレート研究開発体制を確立させました。NETでは、同年10月から本格的な研究開発業務を開始しています。EPFLは欧州トップレベルの大学で、世界中から優秀で多様な人財が集まっています。この大学のネットワークを活用することで、環境とライフサイエンスに注力した欧州での新規テーマの創出を進めています。また、大学のバイオサイエンス、化学の研究チームや、外部の研究機関とも協働して研究開発を進めています。NETでは、今後3~6年間で研究開発テーマを商品開発に■新薬の仕組み〈船と船頭が薬を届ける〉ビタミンA標的化剤(船頭)によって、キャリア(船)は肝星細胞だけに届けられる。肝星細胞に運ばれると、中の薬(siRNA)が投与される仕組み。薬剤(積み荷)siRNA。肝硬変の原因となる肝星細胞のコラーゲン合成を抑制キャリア(船)薬剤を血液中での分解から守り、患部へ届ける標的化剤(船頭)ビタミンA。標的の細胞だけに届くようナビゲートする

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