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マスキングテープ(2)

テープの歴史館

第4章 工業の世界で

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マスキングテープ(2)最初の工業用粘着テープ/誕生

支持体を布から紙に変えても、続く失敗

そこで、人々はさまざまな試行の末に、素材を医療用テープのような布ではなく、薄手の紙に変えてみました。ところが、粘着剤を塗ってから重ねて貼ると、剥がそうとしたときに、紙が表と裏とに層割れを起こしてしまいます。割れないまでも、表面がむしり取られてしまいます。これでは役に立ちません。
この最大の技術的課題を解決したのが、アメリカのリチャード・G・ドルーです。

彼は、バンジョーを弾いて学資をかせぎながら勉強を続けていましたが、3M社に採用されます。
彼の仕事の1つは、サンドペーパーの試作品を持って自動車の工場をまわることでした。そこで、塗装する人々が、マスキングのために医療用テープなどを片手に四苦八苦しているのを目の当たりにします。
「じゃあ、僕がつくってあげるよ」と安請け合いしたものの、なかなかうまくいきません。よく車体につく粘着剤は、剥がすときに塗料も一緒に剥がしてしまいます。やっと適当な粘着剤ができて紙に塗っても、それをテープ状に巻きあげることができません。失敗を重ねたドルーは、またサンドペーパーの研究所にこもることになりました。そこで、含浸処理加工紙を使うことを思いついたのです。

ニカワを含浸させたクレープ紙が、問題を解決


ちりめん状のシワを持つクレープ紙のマスキングテープ。
このシワが問題を解決しました。
含浸処理加工紙とは、ちりめん状のシワをつけたクレープ紙という薄い紙にニカワを含浸させたものです。クレープ紙の小さな穴を、すべてニカワでふさいでしまうのです。
これに粘着剤を塗ってテープにすると、重ねて剥がしても表裏の層割れや毛羽立ちが起きません。ロール状にしても、巻き戻しが問題なくできます。自動車の車体にもしっかり貼り付き、含浸処理効果によって塗料浸透もなく、剥がす際にもテープが破れません。布より薄い紙であるために、塗料の塗り分け境目の不鮮明さも解消できました。こうして、1925年、初めてマスキングテープが生まれました。

その後、ニカワのかわりに天然ゴムや合成ゴムを含浸させることで、さらに強じんで柔軟、熱や水に強い粘着テープも完成していきます。本格的なマスキングテープの歴史が始まったのです。

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