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天然ゴム(1)

テープの歴史館

第2章 粘着剤が出来るまで

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天然ゴム(1)粘着剤誕生の立役者/西洋との出会い

天然ゴムをヨーロッパに伝えたのはコロンブス

粘着テープに黎明をもたらした素材の1つが、天然ゴム(弾性ゴム)です。今の私たちには輪ゴムなどでお馴染みのゴムですが、これを初めてヨーロッパに伝えたのは、新大陸発見で有名なコロンブスだと言われています。
古来南米には、野生のゴムの木が生えていました。ゴムの木に傷がついたりして、自然に樹液が流れることがあります。それが木の下などで集まってかたまりになります。文字がなかった地方のため、正確な記録は残っていませんが、メキシコ地方の人々は昔からこのゴムのかたまりをボールとして遊びに使ったり、簡単な器にしたりしていました。

さて、1493年~1496年に、コロンブスが2回目の航海で西インド諸島のハイチに立ち寄ったときのこと。船員たちは、現地の人々が球状の物で遊んでいることに気付きました。初めて目にするその球状のものは、さわると弾力性があり、落としたり投げたりするとポンポンと弾むではありませんか。これが、ヨーロッパの人々とゴムとの出会いでした。
1601年にスペインの歴史家トルデシラスが著書『カルテリアンの旅行および探検史』の中で、ハイチ島の人々が使用していた球について、初めてgumという言葉を使っています。

「溶かす」ことが可能になってから、生活の一部に

ヨーロッパの人々にとってゴムは不思議なもの、珍しいものとして注目を浴びましたが、本格的に利用されるようになったのは、18世紀後半に入ってからのことでした。
というのも、当時人々が入手できたゴムは、自然に流れた樹液が地表や地中で固まったものですから、石や砂、ゴミなどが含まれており、利用しにくかったのです。また、ゴムを溶かして加工しようと思っても、水にもアルコールにも溶けません。

ゴムがテレビン油とエーテルに溶解することがわかったのは、1763年のことです。ゴムの研究をしていたフランスの科学者マッケとエリッサンが発見しました。マッケはゴム管をつくって医学用のカテーテルに利用しようとしましたが、結局ゴム管は1768年にグロッサルトによって完成しました。
この頃、ゴムが「消しゴム」としても便利であることがわかりました。当時はとても高価なものでしたが、イギリスやフランスで消しゴムが売られるようになり、1770年頃から英語でゴムのことをrubber(こするもの)と呼ぶようになりました。

ゴムを塗ったレインコートが誕生

その後もゴムの製品加工はいろいろと試行され、1785年にはフランスで、熱気球のガスが抜けないように布にゴムが塗られたりしました。
特に防水布の研究は盛んで、1791年にはイギリスで防水布の製作についての特許が初めて出されました。1823年にはイギリスのマッキントッシュが、ゴムの溶剤として、石炭乾溜の副産物であるソルベントナフサが適していることを発見。ソルベントナフサは安価なため、この発見は防水布の量産を可能にし、彼は工場を建設しました。こうして、ゴムで防水処理をした雨具が、人々の生活の中に入っていきました。今でもイギリスでは、レインコートをマッキントッシュ(mackintosh)と呼ぶことがあります。

コラム:天然ゴムには、弾性ゴムと水溶性ゴムとがあります

上記でご紹介した天然ゴムは、弾力性があり水には溶けない弾性ゴムですが、これとは別に水溶性ゴムもあります。「アラビアゴム」などがそうです。アカシヤ・セネガルという木の樹液で、水に良く溶け、水彩絵の具用固着材などの接着剤として、また、ガムシロップなどの食品添加物、生薬としても使われています。弾性ゴムが普及する前までは、「ゴム」「ガム」といえば、この水溶性ゴムのほうを指していました。

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