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ニカワ

テープの歴史館

第1章 接着剤のはじまり

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ニカワ人類が初めて生み出した接着剤

力自慢の武帝を驚かせた、ニカワの接着力

人類が初めて使った接着剤は天然アスファルトですが、その次に古いと思われるのがニカワです。
 ニカワは今は「膠」と書きますが、昔は「煮皮」と書かれたように、獣類の皮や骨、腸、爪などを煮出した液を分離・冷却し、さらに乾燥させてつくります。主な成分は、タンパク質です。乾燥させたものを水につけてから加熱してとかすと、接着剤になります。
 中国では紀元前4000年頃、エジプトでは紀元前3000年頃から、ニカワが接着剤として使われていました。古代中国の古墳や、古代エジプトのピラミッドから発見された棺や家具、美術工芸品などに、それを見ることができます。

ところで、紀元前140年に即位した漢(今の中国)の武帝は、数々の大遠征を行い、領土を一躍拡大した皇帝として有名です。尚武の誉れ高い皇帝で、力自慢でもありました。ところが、弓の弦をニカワで接着したところ、武帝がいくら引っ張ってもとれなかったという逸話が残されています。当時の人々にとって、ニカワの接着力は驚くほど強いものだったのでしょう。

日本では使用開始が遅かったニカワ

その中国の隣国でありながら、日本でニカワを使い始めたのは遅く、7世紀以降のようです。ニカワの原料である獣肉を食べる習慣がなかったためです。高麗から日本に来た僧・曇徴が、油煙を固めて墨をつくるのにニカワを使ったのが最初と言われています。墨は、ニカワとすすを混合してつくるのです。ニカワの製造方法も、ようやくこの頃に伝わりました。

今も私たちの生活に欠かせないニカワ


日本画用のニカワ液。使用するときは液体ですが、乾くと接着力を発揮します。
よく状況が動かなくなると「膠着状態に入った」と言いますが、この「膠着」の「膠」もニカワのこと。この他にも、がっちりくっつく言葉に「膠」が使われている例があり、ニカワがその接着力の強さとともに、昔の人々の生活に深く入り込んでいたことがわかります。
 現在では、和紙の加工にも使われています。紙の繊維をつなぎ合わせる役目を果たしています。日本画でも、顔料を画面に定着させるのに使われています。
 なお、ニカワを精製したものがゼラチンです。ゼラチンといえば、デザートとしておなじみのセリーがそうですね。古来より接着剤として使われてきたニカワは、今では食品の添加物としても、私たちの生活に欠かせないものになっています。

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