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粘着剤設計技術

粘着剤は、下図に示されるような原材料から構成されています。これらの原材料を組み合わせて、目的に応じたさまざまな機能を持つ粘着剤をつくり出し、粘着テープにしています。
粘着テープは、瞬間に接着するという特性と、事前に任意の形状に加工しておくことが可能であるという特徴を持つため利便性が非常に高く、液晶テレビ、携帯電話、車など、産業界で幅広く使用されています。
たとえば、自動車の部品のように永久的に接着したい場合は強接着に、携帯電話の表示窓の保護シートの場合にははがしやすくてしかも粘着剤が残留しないように、偏光板の接着には透明で耐候性があるように、車の内装材には低VOC(揮発性有機化合物)になど、必要な機能を達成するために、使用する原材料の最適配合設計を行っています。また、特殊な設計としては、常態では強接着、熱やUV光により弱接着に変化する粘着剤があり、シリコンウエハやセラミックスの加工などに使用されています。

粘着剤の材料
エラストマーにどの材料をどのくらい加えていくかによって、さまざまな粘着剤ができる。
各材料の種類や量を決めるのが、粘着剤設計技術。

粘着剤の種類

粘着剤の種類には、ゴム系、アクリル系、シリコーン系などがあり、目的に応じて使い分けされています 。それぞれのエラストマーの特徴を生かした設計が必要です。

■ゴム系粘着剤
天然ゴム自体では粘着性が低いため、粘着付与剤を添加するのが一般的です。粘着付与剤を添加することによって、多くの被着体につくことが可能となるため、包装用粘着テープとしてよく使用されます。

■アクリル系粘着剤
アクリルモノマーを選択し共重合することにより、必要な機能を持ったアクリルポリマーが合成され、粘着剤として使用できます。特に透明性、耐候性、耐熱性、耐溶剤性などに優れるため、液晶パネル、携帯電話や自動車などに広く使用されています。
粘着剤合成の設計(アクリルモノマーの選択)に当たっては、合成されるアクリルポリマーのガラス転移点(Tg)(被着体に対する接着性、適用可能な温度など)、架橋点の導入(*)(耐久性、耐熱性など)、アクリルモノマーの共重合性(アクリルポリマーや架橋点の均一性)が重要となります。

  • * 架橋点の導入:粘着テープ製造時に、アクリルポリマーに架橋剤(イソシアネートやエポキシなど)を添加してアクリルポリマーを3次元化します。アクリルポリマー中には、架橋剤と架橋可能な官能基含有モノマー(アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチルなど)が必要です。
    アクリルポリマーは極性が高いことから、ポリオレフィンなどの低極性の被着体に対して接着しにくいため、粘着付与剤を添加して改質を行う場合もあります。
■シリコーン系粘着剤
シリコーンゴムは耐寒性、耐熱性に優れるために使用温度領域が広いのが特徴です。シリコーンゴム自体は粘着性が低いため、粘着付与剤成分としてシリコーンレジンが使用されます。シリコーンゴム成分とシリコーンレジン成分の構成比を変化させることで、必要な粘着特性を得ることができます。耐熱性を向上させるために架橋剤(過酸化ベンゾイルなど)などで架橋して使用されます。

■ウレタン系粘着剤
再はく離性に優れるため、携帯電話の保護シートやゴミ取りロールなどに使用されています。

Nittoは、粘着テープの総合メーカーとして、あらゆる種類の粘着剤を有しており、用途に応じた機能を生み出しています。各材料の特性を極限まで引き出すために、材料の粘弾性理論や界面化学に基づいた粘着剤設計を行うとともに、新たな粘着剤機能のご要望にお応えするためのソリューションテクノロジーを構築しています。

粘着剤の分類と特徴

分類 エラストマー 特徴
ゴム系 天然ゴム
  • 天然ゴムは価格が安い
  • 被着体の選択性が小さい
  • 極性基を有していないので粘着力の上昇が小さい
  • 耐熱、耐候性に劣る
アクリル系 アクリル酸エステル
共重合体
  • ポリマー自体で粘着性がある
  • 変性が自由
  • ゴム系に比べ耐熱、耐候性に優れる
  • 被着体の選択性がある
シリコーン系 シリコーンゴム
  • 適用温度範囲が広い
  • 耐熱、耐寒性に優れる
  • 耐薬品性、耐候性に優れる
  • 価格が高い
ウレタン系 ウレタン樹脂
  • 再はく離性に優れる
  • 低臭気、低皮膚刺激性に優れる
  • 透湿性に優れる
  • 強粘着性、タックがでにくい

アルキル基の炭素数とTgの関係

(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合した時、合成されたポリマーのガラス転移点(℃)は、下図に示されるように(メタ)アクリル酸エステルモノマーのR(アルキル基)の炭素数の違いにより異なります。
この性質を利用して目的とするガラス転移点(℃)のアクリル粘着剤を合成することができます。

アクリル系粘着剤に用いられるモノマー

モノマー 構造式 Tg (℃)
主モノマー アクリル酸エチル CH2=CHCOOC2H5 -20
アクリル酸ブチル CH2=CHCOOC4H9 -55
アクリル酸2-エチルヘキシル CH2=CHCOOC8H17 -70
アクリル酸イソノニル CH2=CHCOOC9H19
コモノマー
(凝集力の向上)
酢酸ビニル CH2=CHOCOCH3 32
アクリルニトリル CH2=CHCN 97
アクリルアミド CH2=CHCONH2 165
スチレン CH2=CHC6H5 80
メタクリル酸メチル CH2=C(CH3)COOCH3 105
アクリル酸メチル CH2=CHCOOCH3 8
官能基含有モノマー
(架橋点の導入)
アクリル酸 CH2=CHCOOH 106
アクリル酸ヒドロキシエチル CH2=CHCOOC2H2OH
アクリルアミド CH2=CHCONH2 165
メタクリル酸グリシジル

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